私は藤原鈴鹿。
芸術大学に通う20歳の大学生だ。とりいってなんの変哲も無い普通の女の子だ。と自分では思っている。

母は早くに私を産み弟を産みすぐに離婚した。だから5歳の弟は父親の顔はあまり覚えていないらしい。ポチが死に、そのあとすぐに弟が生まれた。だから私にとって弟はポチみたいな存在になった。なので私の頭からはポチが離れない。物心がつきだして朝弟が起こしにくるたび、私は「ポチみたいだ」と思うようになった。日が昇るとうるさく吠えていたポチ。小さくてコロコロした柴犬で、人見知りでよく吠えたし散歩に連れて行かない日があると必ず夜遅くに「クゥ〜ン、クゥ〜ン」と鼻から声を出して鳴いていた。だから夜泣きをする弟を見ながら私はぼんやりと「ポチみたいだ」と思った。弟は幼馴染の山中によくなついている。そういうところまでポチそっくりで。もしかすると私の無意識がそう仕向けたのかもしれない。そう思ってしまうほどだった。

たぶんポチは私から消えない。
私が世話をして私が看取ったポチ。
その淋しさと弟と勝手に重ねて時間が経って慣れてしまい。
長い年月をかけたような錯覚を起こして頭にへばりついている。

たぶんポチは私から消えない。
私が世話をして私が看取ったポチ。
その淋しさと弟と勝手に重ねて時間が経って慣れてしまい。
長い年月をかけたような錯覚を起こして頭にへばりついている。

山中は2件隣の家に住んでいる。私より年は一つ上で前まで工場に勤めていたが上司が嫌になり辞めてしまい、今は無職だ。
「おはよ〜。おばさ〜んメシ食わせてくださ〜い。」
朝になると山中は必ずウチへ来る。昔からずっと。だからもう家族のようになってし
まっている。山中は今家族がいない。両親は山中を産んですぐに交通事故で他界した。
交差点でスピードを出しすぎて曲がれなくなったトラックに当たられて即死だったらしい。

その後山中は山中の祖母に育てられた。その祖母も山中が5歳になると癌で死んでしまった。1人きりになってしまった山中。でもそんなことがあっても山中は明るい。5歳の子どもが天涯孤独になってあんなに明るくぐれたりもせず健全に育つなんて奇跡だ。若くて何も知らないなりに私は山中のことを勝手に不思議に思っていた。
「もう椿を送りにでちゃったわよ。パンとコーヒーがあるから勝手に食べて。」
「さんきゅ〜。昨日ツレとマージャンしてて徹夜でさぁ。もう腹ペコペコなんだよ。」
そう言うと山中は慣れた手つきでパンをオーブンに入れた。
私は山中がそうやってうちで好き勝手に動いている姿が好きでいつも見つめてしまっていた。

 




Evening glow インフォメーション



アルバム:ゴトーチバンドアーカイブ area3 ワレサキニ [GSL-00004]

  ♪Evening glow / 君がいない街(収録)

  ゴトーチバンドコンピレーション 全13曲収録
  発売元:グランドスウェルレーベル/販売元:アミューズ

※他、CD通販、全国CD店にて発売中




アルバム:ゴトーチバンドアーカイブ area3 ワレサキニ [GSL-00004]

  ♪Evening glow / 君がいない街(収録)

  ゴトーチバンドコンピレーション ボーナストラック含む 全17曲収録
  ※1曲でのダウンロード可


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